おすすめメーカーを調べる【初心者向け】

マヌカハニーはニュージーランドとオーストラリア、どっちのもの?

マヌカハニーをインターネットで検索すると、ニュージーランド産のマヌカハニーだけでなく、オーストラリア産のマヌカハニーも出てきます。「マヌカ」という言葉自体がニュージーランドの先住民マオリ族のマオリ語なのに、いったいどうして? と思いますよね。

理由について深掘りすると、その歴史は大航海時代にさかのぼり、現在のマヌカハニーが生む経済利益とも複雑に絡み合っていました。

大航海時代に発見されたニュージーランド

キャプテン・クックの偉業

大航海時代中の1642年に、オランダ人の船長がニュージーランドを発見して事前調査員を送り込みました。しかし、マオリ族に殺害されたことで上陸をあきらめます。

そして、1768年にイギリス海軍から指令を受け、ニュージーランドの地にヨーロッパ人として初めて上陸したのがキャプテン・クックという人物でした。キャプテン・クックはオランダ人船長の経験から学び、マオリ族との接触には十分な注意を払い、何度も粘り強く交渉を図ったそうです。

その後、上陸を果たして島を検索し、詳細な地図を作ったことで知られています。

MEMO
前述の偉業はさることながら、実はこのキャプテン・クックが有名になった理由は他にもあります。この時代は、過酷な航海の中で多くの船員が壊血病(ビタミンC欠乏症)などの病気で倒れ、亡くなってしまうケースが多いなか、船員をひとりも死なせることがなかったそうです。

キャプテン・クックが命名した「ティーツリー(マヌカ)」

壊血病は当時、航海者たちが最も恐れる病気でした。いったん航海に出ると、積み込んだ食料と新鮮な水は徐々になくなり、船員たちの栄養状態も比例して悪くなります。ビタミンC不足により壊血病になり、やがては死に至ってしまうケースです。

キャプテン・クックは航海を始めるにあたり、予防策として柑橘類やザワークラウト(キャベツの漬物)を持ち込みました。

しかし、ニュージーランドに上陸をした際には船員が壊血病や感染症に倒れ、新鮮な水と物資を探しているとき、マオリ族がマヌカの葉を煎じたお茶を飲み、水浴びをしていることに気がついたそうです。

そのお茶は「治癒と浄化の力がある」とマオリ族から聞き、キャプテン・クックは船に戻って一番具合の悪い船員に飲ませ、見事に回復したことから全ての船員にそれを与え、感染予防に備えることができました。

ビッグベア

これが、マヌカがティーツリー(Tea Tree)と呼ばれるようになった理由だそう。

キャプテン・クックの記念碑。ハワイ島のケカラクケア湾にあります。ちなみに、カヌーやカヤックでないと上陸ができません

マヌカハニーに関する論争は現在も続く

キャプテン・クックが招いた混乱!? ふたつのティーツリー

その後、キャプテン・クックはオーストラリアに上陸し、マヌカに似た樹を発見しました。これもまたティーツリーと呼び、お茶にして飲み、同様の効果を得ていました。

しかし、現在はこの2つのティーツリーは同じ科ではあるが成分は別物ということが分かり混乱を生んでいるのです。

モラン博士がUMFを制定

ニュージーランドのマヌカハニーが、その抗菌作用を世界で初めて学術的に研究し、世界に発信しました。

マヌカハニーの論文を発表したモラン博士をはじめとする様々な生物化学者によってその研究は続けられ、博士はマヌカハニーの世界的権威として、UMF(Unique Manuka Factor)を制定し、ニュージーランドマヌカハニーの信頼性や販売における安全性が確立しました。

今やそのマーケットは欧米から広がり、さらには中国の蜂蜜を用いた健康志向の高まりから莫大な利益を生むようになったのです。

マヌカハニーを「ジェリーブッシュハニー」と呼んでいたオーストラリア

一方オーストラリアにおいても、養蜂はとても盛んで、もちろんティーツリーから蜂蜜が採取されていました。

オーストラリアでは、ティーツリーから採れる濃厚な黄色の粘度のある蜂蜜であることからジェリーブッシュハニー(Jelly bush honey)と呼んでいました。ニュージーランドから遅れましたが、オーストラリアの蜂蜜からも高い抗菌作用は確認され、研究も行われています。

しかし、気づいたときには「マヌカハニー」という名称が先に世界に知れわたり、ニュージーランドの努力の甲斐あって、その市場はすでに大きなものに。オーストラリアのジェリーブッシュハニーもマヌカハニーとして名乗ることにしたのです。

オーストラリア産が疑問視されている理由とは?

広大な土地をもつオーストラリアにはマヌカと同じ科の植物が200種以上あるとされ、その中の「一種だけ」がいつの間にかニュージーランドに自生し、その気候にとても適していたため、ニュージーランド全土に「独自」の広がりをみせました。

そして、マオリ族の間で有用され、やがては単一花蜜の蜂蜜「マヌカハニー」として知られるようになったのです。

一方、オーストラリアのマヌカハニーには200種以上の同じ科のどの樹の花蜜からきているのか判別が出来ないため、同じようにマヌカハニーと名乗ることを疑問視されているのです。

MEMO
両者は現在も係争真っ只中!

現在、イギリスの裁判所にニュージーランド側からマヌカハニーの「マヌカ」というワードに対する商標登録の申し立てが行われています。マヌカの植物自体は他の地域にも存在しますが、「マヌカという言葉がマオリ語であること」、「すでにニュージーランドのマヌカが世界に知れ渡っていること」などを理由に認められました。現在はオーストラリア側から原産国であるなどの主張を元に異議申し立てがされています。

【まとめ】

本項タイトルの「(マヌカハニーは)NZとオーストラリアはどっちのもの?」ですが、現状で判定を下すのは難しいと言えるでしょう。正確には、やはり裁判の行方を見守るしかありません。

とはいえ、マヌカハニーの研究を始めたのはニュージーランド(産)です。その成果は世界に発信されましたし、ニュージーランドは国を挙げてマヌカハニーを推していますので、マヌカハニーのマーケットの中心にいるのはニュージーランド産で間違いありません。

オーストラリア産のマヌカハニーも魅力ですが、マヌカの語源、養蜂の歴史、研究結果などを総合するとニュージーランド産の信頼性と安全性の高さは世界一――という考え方が妥当かもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です